灯火の祭り

2003年1月21日
「お嬢さん、こんばんは。」
カボチャのお面をかぶった男が言った。
「うわぁ、何なんですか。私今入浴中ですよ。」
「わかってますよ。それより今夜は灯火祭りです。」
「・・・はあ。」
「あなたの家の庭で開催しているので是非お越しください。」

おかしい。
うちの猫の額のような庭で祭りなど開けるはずがない。
このカボチャ仮面は何を言っているのだろうか。

「はい、コレ。入場券です。」
「祭りなのに入場券がいるんですか?」
「人間は選ばれた者しか入れないからです。」
「・・・ところであなたのそのカボチャのお面はハロウィンの仮装か何かでしょうか。」
「違います。ちなみにこれは仮面です。」
「もう一つ聞いていいですか。」
「はいどうぞ。」
「あなた、変態ですか?」
「いいえ、違います。」
「そうですか。」
「それでは、祭りに行かなければ。

とうっ!」

カボチャ仮面は消えた。

灯火祭りの入場券には幻想的な風景が描かれていた。


「お嬢さん、こんばんは。
灯火祭りにはいらっしゃってくださらないのですか?」
カボチャ仮面が来た。

この寒空の下の祭りなんて行きたくない。

「祭りに来ていただけないのでしたら、
入場券は返却してください。」
「はい、返却します。」
私は即座に答えた。
「しかし返却には返却料が必要です。」
「返却するのにお金がいるんですか。」
「はい。3900べぽらーです。」
「・・・《べぽらー》って何ですか。」
「日本円で言うとだいたい6万円です。」
「・・・普通に高いですね。」
「これでも格安です。」

返却するのに6万円も支払うのもバカバカしいので、
私は素直に灯火祭りに行った。
寒かったが、屋台のたこ焼きがおいしかった。

まあこういうのも悪くないかな。

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